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2011年3月17日 (木)

勝利の立役者となった伊藤竜馬【デビスカップ】

改めて思うのだが、今回のデ杯フィリピン戦における最大の殊勲者は伊藤竜馬だった。初日の第1試合で彼がもし負けていたら……。第2日のダブルスや第3日の添田豪の試合を見ながら、そして日本が3勝を挙げて日程終了となったのちも、幾度となく、この「もし」が頭に浮かんだ。

選手は、そのテニス人生で何度か節目を越えていくものだが、竜馬にとってこのデ杯、5時間25分を戦い抜いたマミート戦は、間違いなく一つの節目となるだろう。

そのマミートが竜馬について「(コートサーフェスなどの)条件は異なるが、グラウンドストロークもサーブも、昨年、日本で対戦した時とはまったく違っていた」と話していた。前回の両者の対戦はインドアのカーペット、今回のサーフェスはアウトドアのクレー、しかも粉砕した貝殻でできたシェルコートでバウンドが極端に遅い。昨年までの竜馬だったら、粘るマミートにラリーを支配され、焦ったあげく自分からミスを続けていたような気がしてならない。

今回の竜馬は十分に積極的で、十分に粘り強かった。エッグボールのトップスピンは重く、高い打点からのフラットは一撃で仕留める威力と精度を持っていた。サーブにも破壊力があった。コートサイドで見ていた私の目にも「まったく違うテニス」と映った。

竜馬にマミートの言葉を伝えると、彼は「ラケットを替えたことが大きい」と話した。「スピンがかかるようになったし、『線』ではなく『点』で狙えるようになった。我慢強くなったのもある」というのだ。単にサーフェスにうまく対応できたという話ではない。新しいラケットが触媒となって、竜馬のテニス自体が大きく進化したのだと思う。

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秋山英宏
Akiyama Hidehiro

秋山英宏

1961年生まれ。大学卒業後、フリーランスライターとしてスポーツ、レジャー分野を中心に雑誌、新聞で執筆活動を行う。1987年からテニスの取材を開始し、グランドスラムをはじめ、国内外の主要トーナメントを取材。テニス専門誌に多くの観戦レポート、インタビュー記事などを執筆している。日本テニス協会広報委員会委員。